Monday, March 21, 2005

パニック

人生に一度や二度パニックに陥る事は誰しもあるのではないか。

アメリカに来たての頃、スクーバーダイビングに興味を持ち習い始めた。最初に教えてくれたのが「パニック」についてであった。日本人教官が親切丁寧に教えてくれ、最初はプールの中で模擬実習をしたものだ。

潜っていて一番恐ろしいのが、「パニック」になること。海の中では何が起こるかわからない。表面から幾ら観察しても(特に潮の流れを見る)底の方は分からない。

サメに襲われたり、岩の間に挟まれて脱出出来なくなったり、数十メートルも揺らいでいる昆布に巻き付かれたり、早い潮の流れに押し流されたりで、突発事故は避けられない時がある。その時の「パニック」が事故そのものより恐ろしい。正常な判断力を失うからである。

「パニック」が起こると、胸がドキドキしたり、冷や汗が出たり、呼吸が乱れたり(ボンベの空気がすぐなくなる)、頭に血がのぼって 冷静に考える事が出来なくなる。時には心臓発作が起こっているのではないかと思い、余計にパニックがつのる。凍りついて動きが取れなくなる。

死に直面した様な時には、パニックに襲われる事によってアドレナリンが体内を巡り、痛みさえ感じなくなるらしい。

私の教官は結局海の底で岩に挟まれて亡くなられた。その直後から私は海には未だに潜ってない。もう30年以上になる。


安藤秀世(サウスベイジャパニーズクリスチャンフェローシップ教会牧師)

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