Wednesday, November 08, 2006

ユダヤ人博物館

Museum of Toleranceは、観客参加型の博物館である。
入場して展示物の前で勝手なおしゃべりをしたりうなずいたり傍観する従来
の形式を想像しているとひっくり返る。まず入り口で第一の選択。
心中に悪意、偏見、差別のない人は右側の平穏そうな門をくぐれるが、そう
でない人は左側の毒々しい紅ランプの点滅するドアを押す。
やっと入場した内部では、ごく普通の人が大量殺人する者に変貌していく可
能性と向き合わされる。観客が歴史の舞台に引っ張り出されるのだ。
ホロコーストの犠牲になった若い命を一日預かる。ナチ台頭前夜の街角の
カフェテリアでの会話を立ち聞きしてしまう。
処刑のビデオの前に立ち尽くす3体の蝋人形に混じって画面を見る私たち観
客も蝋人形さながら今という歴史に立ち会うfigureに他ならないことに、
思いが至る。歴史には必ず伏線があって今に至っており、その今が今後の歴
史へと流れていくということ。それが言葉という形をとって良くも悪くも目
に見える形に実現していくことを考えさせられた異体験の一日でした。
(松尾逸見)

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